――春。


私は、真新しい制服に腕を通して学校の通学路を歩く。

「愛理沙、おはよう」

家を出てしばらくて、声を掛けてきたのは幼馴染の山田 涼介。

「涼くん、おはよう」

「なぁ、もう高校生なんだから涼くんって呼ぶのやめろよ」

「そ…そうだよね。涼介、ごめんね(ニコッ)」

私が笑うと、涼介が赤くなった。

自己紹介がまだだったね…

私は木城 愛理沙。
今日から、華の高校生。

「朝早いけど、体調は大丈夫なのか?」

涼介はそう言いながら、眉を下げて私の顔色を窺う。

「大丈夫」

それだけ言うと、私は止めてた足を歩み始めた。


私は生まれつきからだが弱い。
心臓病が原因で、発作が起きたりすることが多い。涼介は幼馴染だから知ってる。

「涼介、何で照れてるんだ?そして、愛理沙に近づくな」

そう言って隣にいる涼介を蹴り飛ばしたのは、幼馴染二人目の中山 優馬。