気が付くとそこは、着物をきた女の人や、袴をはいた男の人達。


「何……これ…」


まるで…。


「演劇の背景みたい…。文久時代…?」


そう、私が演じる筈の新選組がいた時代、文久時代にそっくり。


(どうなってるの…?私は庭に居たはずじゃ…)


ふと自分の手の中を見ると、庭で拾った刀があった。


とにかく今は、ここがどこだか聞かないと…!


私は、道端にいた着物の女性に聞くことにした。


「あの…、ここはどこですか?今は平成何年ですか…!?」


私の問い掛けがよく分からないのか、女性は首を傾げる。


「何をおっしゃっているの?ここは文久4年ですよ」


ふふ、と上品に笑う女性。


(やっぱりここは文久時代なんだ…)

どうしよう…。

なんで私はこんな所へ…?

どうしたら帰れるの…?

まさか、一生このまま…?


不安と寂しさで俯き加減で歩いていると、ざわっと人々が道の端に避けていく。


それにつられ、私も端に移動する。



(あ…、浅葱色の羽織袴…!あれは…)



――――新選組!



私は身を見開いたまま新選組を見つめた。