「ちょ、ちょっとっ」

わたしが呼びかけても放してくれない。

振りほどこうと思っても、ほどけない…。

これが…力の差…。

諦めてされるがままになっていると、いつのまにか神崎くんはいなくなっていた。

「…あれ…」

どこにいったんだろう、そう思って振り返った瞬間。

「っ!!」

後ろから、突然抱きしめられた。

「…先輩」

…相手は、振り返らなくても分かった。

「…神崎くん…?」