なんだかんだでドタバタして、僕は親戚の家に中学からすむことになった。

少し、言いにくいが・・・けっこう幸せな日々を送っていたと思う。

おじさん、おばさんはやさしくて。そのおかげで少し明るくなったのかなんなのか学校で友達もできた。

金持ちではなかったけれど、けっこう普通の幸せだった。だけど、幸せになればなるほど。楽しければ楽しいほど。

大丈夫か?

って思った。今までの人生と違いすぎる、って。母の目もいじめてきたやつらの目も冷たい目をしていて。

おじさん、おばさん、学校のみんなの目は優しくて。

なんだこれ。ってかんじだった。違いすぎてなにか違和感を感じていた。

中2の秋。

「あ、あのさ・・・貴本くん。ウチと付き合ってくれませんか?」

同じクラスの田中ももかに告られた。このころは、だいぶ普通の中学生だった。ちょっと冷めたところもあったかもしれないが、優しいみんなに打ち解けて。

笑った。泣いた。怒った。喜んだ。

そして、普通の男子中学生だ。恋もしていた。田中ももかに。今思えばありえねぇけどさ。

田中ももかは可愛かった。特別美少女ってワケでもないが、顔は平均ちょい上くらいだった。身長はちっちゃくて150くらいだっただろうか。黒のストレートで首の真ん中くらいのボブ。大きい二重の目はいつも輝いてるようで。

ももかはクラスの人気者で、よく笑って、しゃべって、飛び跳ねて、コケて。

まぁ、好きだった。もちろん付き合っちゃったのであって。

付き合った日々は、つまんないわけではなかった。暇しなかった。

今思うと不本意だが、本当に嫌なのだか・・・・・・。

・・・・・・楽しかった。幸せだった。ももかが好きだった。

そして、付き合ってちょうど一年がたった――――・・・


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「あぁ!?」

校門の前でももかは立ち止まった。どうしたんだろうか?

「先生によばれてたの忘れてたっ!」

はっとした顔をするももか。相変わらすかわいいなぁ。

「お前はほんとドジだなぁ。」

ももかに言い放つ。そういうところも好きなんだが。

「ひどーい・・・。ちょっと行ってくるから待ってて!!」

そういって学校へ走ってももかは戻っていった。

「ふぅ・・・。」

校門の石のところによりかかる。ポケットからア●ポットを取り出してイヤホンを耳に突っ込む。

音楽をききながらのんびりしていた。

空がきれいだなぁー・・・って雲が流れるのをぼんやり見て。

ぼんやりしてうとうとしだしたころ。

ピロピロピロロ~♪

携帯が鳴った。ももかからのメールだ。