だけど。あたしの心配をひっくり返して。
「私も信じますっ!」
叫んだ子がいた。見る。さくちゃんだ。こういうときビクビクしちゃってたさくちゃんだ。
みっちーもさくちゃんも勇気を振り絞ってがんばったんだ。すごいね。なんか上から目線みたく聞こえるかもしれないけどさ。2人とも頑張ったね、立派だね。だからさぁ。
たっくん頑張ってみてよ。
声には出して言わないけどさ。言っちゃいけないことだけどさ。
頑張って考えてだした答えを否定されるってさ、キツかっただろうけどね。
男だろっ!なんてね。
「・・・・・・。」
たっくんは黙って下を向いている。頑張れ。
「お前ら、あんな胡散臭いのしんじるとかバカじゃねーの?」
しゃべりだしたのはあきらんだった。寂しいね、あきらん。
「あきらんも信じようよ。」
あたしはただ、そう言う。少しでもこの思いが伝わるように、まっすぐとあきらんの目を見る。
でも、あきらんは寂しい目でにらんで来ただけだった。
「なんで信じなきゃいけねぇんだよ?」
さみしくないの?誰も信じない、何も信じない。そんなの悲しいよ。寂しいよ。そんな言葉がでてきちゃうなんて、悲しいよ。
「なんで、何で信じられないの?」
あたしがいう。ていうか、たかがひとつの地図をどうするかでなんでここまで揉めてんのかな?
「信用できないからだろうが。」
違うな。たかが地図の問題じゃない。うまく言えないけど、大切な何かがさ・・・なんというかさ。
「信じようよ。」
「嫌だ。」
「なんで?」
「できねぇもんはむり。」
「だからなんで?」
「なんで言わなきゃいけねぇんだよ?」
「「・・・・・・・・・。」」
ダメだ。キリがない。でも、ここで引いたらいけないよね。
「俺は信じるよっ!」
「私もっ!」
みっちーとさくちゃんが言う。応援されてるみたい。あきらんのこめかみがちょっと不機嫌そうに「ヒクッ」とした。
「ぉ・・・も。」
「え?」
小さい声がぼそりと聞こえたような。
「俺も・・・。」
言ったのは、やっとだ。たっくんだった。
これであきらん以外はみんな『信じる』派だ。さぁ。
「みんな信じるって。だからさ・・・。」
「うるせぇっ!!」
あきらんが叫んだ。
「・・・っ、僕は、僕で行動さしてもらう。」
ダタッ
そういってあきらんは部屋を飛び出した。