そのまま刺すような寒さの中、2人で海を眺めながら1時間ほどそうしていた。


あたしの目は滲んでしまって、海はもう見えなかったけど。


ネイトの左肩はあたしの涙でびしょびしょになってしまったけど、「いいよ」と言って笑ってくれた。


泣いた顔を見られたくなくて、家族にはろくに挨拶出来ずに帰ってしまった。


それでもネイトの優しさとぬくもりに癒されて、あたしはだいぶ気が楽になった。


もう無理をするのはやめよう、この時そう思った。




次の日仕事に行くと、


「昨日は大丈夫だったか?由摩ちゃん芽衣ちゃん来ないから寂しがってたで~」


と大井さんに言われた。


それが見え透いた嘘だということは分かっていたので、


「そうですか。あたし由摩ちゃんのこと嫌いだったんでせいせいしました」


と抑揚の無い声で言った。