「・・・すまん」 「・・・なにが?」 「今日、デートやったんに、こんな」 「風邪は仕方ないよ。折原君のせいじゃない」 「せやけど」 「・・・あ、逢いたいから、私は来たの」 「・・・は?」 「逢いたかったの。・・・それだけじゃ、だめかな」 言葉にして急に恥ずかしくなって俯けば「凪咲、」と掠れた声で、しかも下の名前で呼ばれた。 名前で呼ばれるのってこんなに嬉しいんだ。 よし、これからは私も折原君のこと、湊君って呼ぼう。 そう決意して顔を上げる。