「まさか君が執筆していたなんて気がつかなかったよ」

「すいません。
父の最期の願いを破りたくなかったんです」



たくさんの人に囲まれながらも、愛想よく答える会沢さん

いや……今目の前にいるのは瀬川真司なんだ



あたしはどうしてもその場から動けずにいた




「迷惑だった?」

「え?」



顔を上げると目の前に会沢さんがたっていた


「えっ、いやっ。そういうわけじゃなくて……っ」

いつの間にか会沢さんの周りにいた人だかりが消えていた



「いいんですか……?
こんなところで油売ってる場合じゃないでしょ?」

「あはは。久々にちづるちゃんにしかられた」


え……?