何事もなく放課後になり、クラブに行く麻衣と別れ、下駄箱へと向かった。

「!」
急に口を塞がれ、すぐ側の教室に連れ込まれた。

「ん~!」
もがく春菜の耳元に聞き覚えのある声が

「俺から逃げるとはいい度胸だな…。」

壁と谷口弘人に挟まれ、逃げ道がない。
まだ何か用なの~

「逃げるなんて…」
引き攣る笑顔で答える。

「お前さ、黙っててほしいって言ってたよな?」

顔が近い!
春菜は壁に張り付いて頷く。

「じゃあ…俺の女な?」

「へ…?あの…意味が解らないんですけど…? あなたの彼女に何かすると言う事…?」

恐る恐る谷口弘人を見る。

「はっ? 彼女なんかいねぇよ。だから…お前が今日から彼女な?」
ニヤッと不適に笑う。