私はスクッと立ち上がった。



私の手をお母さんが握っている。



それを勢いよく振り払うと、お母さんは驚いたように目を見開いた。



その姿を横目に私は部屋を横切りドアを開けた。



「どこへ行くの!?お父さんが心配するでしょ!怒られるのは私なのよ」



やっぱり、あなたは心配しないんですね。



そして、自分の事ばかり考えている。



私を傷つけても平気なのに、自分が何か言われるのは嫌なんだね。




“可哀想な人”




私はお母さんを一瞥すると、家を飛び出した。




私の居場所はここじゃない。



私の場所は翔さんの居る場所なんだ。



離れて初めて気付けた。