「紛らわしいんだよ!」 何度か瞬きをした後、突然彼は怒った声を出した。 驚いて目を丸くする私をよそに、私の腕から手をパッと離す。 そして踵を返すと少し歩いた所に寝転がってしまった。 そう、まるで昨日のように……。 風が河原を吹き抜ける。 草花を揺らし、彼の紅茶色の神を揺らす。 少し離れたこの場所からでもわかる。 彼は美しい……。 気付けば私は彼の方へと足を進めていた。