自分があの家に不釣り合いな気がしていた。 「みんな、嫌い……あんな家、帰りたくない」 ギュッと下唇を噛み締めて、呟いた。 「じゃあ、捨てればいい」 翔さんが私を見つめてそう言った。 「捨てる……?」 「いらないんだろ?」 翔さんの問いかけに私はゆっくりと頷く。 翔さんはコーヒーを一口飲むと、天井を仰ぐ。 「ここに来ればいい。ここで暮せよ」