翔さんの胸にすっぽり包まれると、心臓が壊れそうなくらいドキドキした。



密着しているから、このドキドキが伝わっちゃうんじゃないかって焦ってしまう。




離れなきゃ。



でも、離れたくない……。



ずっとこのままでいたい。




翔さんの背中に手を回そうとした瞬間、私の思いとは裏腹に翔さんの体は離れてしまう。



名残惜しかった。




「顔赤いぞ。熱でもあるのか?」




コツンと翔さんの額が私の額に当てられる。




吐息が触れる距離。




体中の血液が沸騰したように熱くなる。




「熱は無いな。でも、今日はもう帰るぞ」




翔さんの手が差し伸べられ、そして私はその手を取った。