「泣きたい時は泣け。溜め込むな」 翔さんは泣くことを責めない。 笑わない、バカにしない。 「ちゃんと泣ける人間の方が強い」 私の頭をポンと叩いてそう言うと、遠い目をする。 私が見上げたその瞳の奥には哀しみが宿っている気がした。 翔さん。 翔さんが見せるその悲しげな瞳を見ると、胸が締め付けられるんです。 この気持ちは何だろう。 「相変わらず学校、辛いのか?」 私の涙を翔さんの人差し指が拭っていく。