「私のため、ですか……?」 ドキドキしながら聞いてみる。 「いらないならいい」 袋を奪い返そうとする翔さんの手をかわして袋を抱きしめる。 「いります!すっごく嬉しいです」 本当に嬉しかった。 翔さんが私を気にかけてくれたことが。 「そうか」 私が笑顔で答えると、翔さんの表情が柔らかくなった気がした。 あれ……? 私、翔さんの笑った顔を見たことが無い。