坂を登りきると、一気に視界が開けた。 海の望める小さな丘。 その一角に墓地があった。 翔さんはメモを見ながら墓地を進んでいく。 そして、一番端の海のキレイに見える場所に小林さんのお墓があった。 翔さんはお墓の前に立つと墓石をジッと見つめている。 「小林 努さんって仰るんですね……」 「あぁ……」 私の言葉に小さく返事を返すと、翔さんは傘を投げ出した。 そして、雨に濡れながらお墓に向かって深く頭を下げた。