お互い無言のまま、緩やかな坂を上る。 この先に小林さんのお墓がある。 そう思うと、一歩一歩が慎重になる。 そして、緊張する。 私でも、こんな気持ちなんだから、翔さんの気持ちはもっと緊張しているはず。 チラッと翔さんの横顔を見ると、真っ直ぐに前を見据えていた。 やっぱりこの人は強い人だ。 改めてそう感じた。 ゆっくりゆっくり私達は坂を上る。 次第に雨は強くなっていった。 この雨は誰の心を映しているんだろう。