とめどなく涙が溢れ、彼の手を濡らす。
我慢していたものが堰を切る。
彼はしゃっくりを上げながら泣く私を黙って見守っていてくれた。
「落ち着いたか?」
しばらくして、泣き止んできた私に彼は静かな声色で問う。
「……はい」
目を擦りながら頷くと、私の顔を彼が下から覗きこむ。
「少し赤いな」
ジッと見つめられてドキドキしていると彼は川へと走って行った。
泣きすぎたせいか視界がぼやける。
目が回りそうになったので、目を瞑っていると左目にひんやりとした感覚が広がった。
驚いて瞳を開けると、彼が川で濡らしてきたハンカチで私の左目を冷やしてくれていた。

