「うへー、今日もか…」
ポツリと呟いた声は、部屋中に響き渡る雨の音にかきけされた。
6月中頃のこの時期、毎日毎日雨が続く。
朝起きては一目散にカーテンをあけ、外の天気を気にする毎日。
偏頭痛もちのあたしは、雨の日なんてとくに体調が優れない。
雨が嫌いというわけでもないけれど、偏頭痛には天敵だ。
「うー…」
長い髪は、湿気のせいでふわふわしてるし。顔色もあまりよくない。
――学校までの道のりを歩くだけで、靴は濡れてしまった。
雨のせいで薄暗い校舎の中を一人、とぼとぼ歩く。滅多に人が通らない渡り廊下。
「希美!」
「え、…あ、まさき!」
呼ばれたほうに目を向けると、愛しい彼が立っていた。
なぜか、息を切らしていて。
首を傾げながら近づいてくるまさきを見上げる
「…っ?」
あたしの前に立った彼は、ふわりと優しくあたしのおでこに触れた。
…たったそれだけで、体温が上がる
「え、どどうしたの」
「具合大丈夫かなって」
「…あたし具合悪そうにみえる?」
「や、違くて。雨の日って体調優れないんでしょ?だからさ心配で、はやく学校来たんだけど…」
心臓がキュッと音をたてた。
…ある意味、具合悪くなりそうだ。
まっすぐ見つめられた途端、なんか恥ずかしくなり、その場にうずくまった
――外では、まだ雨がやまない。ザアザアと耳を塞ぎたくなる、雨音がする。
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