――突如、わけのわからない感情が疼きだした。
(っ、あたしサッカーにまで嫉妬してるのか…)
醜いな小さいなあたしは。バカだな。
テレビからはホイッスルの音が聞こえてきた。どうやら後半戦が終わったらしい
後半2対2で終了。延長戦突入とテロップがでていた。
(あー、もう……)
あたしは顔の近くにあった彼の手を握る。すぐさま絡まった指。
今はこれでいいやと思い、延長戦前半開始のホイッスルを聞きながら目を伏せた。
「―寝てる?」
頭上から聞こえてきた声にびっくりして、彼に目を向ける
「…起きてるよ。―よいしょっと」
起き上がってとなりに座ると、やさしく頭を撫でられた。
「サッカーは?」
「あー、いいや。」
「ふーん…」
「だって、拗ねてるでしょ?」
「…拗ねてないもん」
なぜか、ふわりと彼が笑った。
「なんだよー」
「んー、おいで」
引き寄せられ、彼の胸へ頬を擦り寄せる。……優しい、あたしの好きな匂いがする。
「可愛いなー」
「え」
「かまってほしかったんだよね、ごめんごめん」
腰と頭にまわった腕がぎゅうっと強くあたしを抱き締めた。
「ちがいますもん」
「ん?」
「やきもちなんて、妬いてないよ」
「ふはっ、素直だね」
照れて、恥ずかしくて、大きな背中にぎゅっと腕を回して抱きついた。

