君に贈る

俺は口を拭った


「ふざけるな」


俺は一言だけ残しその場を後にした


沙菜はどうしてあんな態度を取ったんだ?


ショウゴって奴が何か知ってるとしか思えないよな


電話してる途中は普通だったんだから


ひとまず愛理ちゃんの家に来た


インターフォンを押し入れてもらった


「琉生くん‥」


「沙菜来てない?」


「‥いないよ」


「そっか‥」


俺は玄関の壁にもたれかかった


どこにいるんだ?


実家か?


そう思って出ようとしたとき


「琉生くん」


振り返り愛理ちゃんを見る


「思い当たる場所知って「琉生くん浮気なんかしてないよね?」


さっきの残像が頭をよぎる


「え‥琉生くん‥」


「してない」


「…」


「じゃあ」


それだけ言って飛び出した