「裕!?何があったの!?」


「…」


「裕!?‥裕!?」


今のって‥違うよね?違うよね、裕


私は携帯を握りしめ会社を後にした


「ちょっどこ行くの!?もう昼休み終わりよ!?」


廊下ですれ違った所長の声が響く


私は会社を出て裕の家に向かった


胸騒ぎがする


イヤ‥裕‥


どこにいるの?


今から会いに行くから


だから‥


嫌な光景が頭をよぎる


どのくらいの時間走っただろう


南にあった太陽は西に傾き始めている


そのとき電話が鳴った


「裕!?」


「沙菜、俺」


それは雅喜の声だった


しかも暗い声


「どうしたの?」


「裕が‥裕が‥」


振るえる雅喜の声で察した


「事故で‥」


「っ‥」


嫌な予感は的中した


嘘だよ


これは夢


「沙菜っ‥裕が‥信じられないんだけど‥」


「雅喜‥これどっきりでしょ?そうに決まってるもん‥」


自分の声も震える


「だって‥裕が死ぬわけないもん‥さっきまで私と電話してたんだから‥」


「…」