君に贈る

裕の背中は悲しそうに見えなくて、前より大きくなったような気がした


私はその場に立ちつくしていた


風邪ひくとすぐに駆けつけてくれた裕


いつも私の我儘聞いてくれた裕


いつも兄弟みたいにジャレて


喧嘩して私が怒ってもすぐに裕は許してくれて


いつも一緒で‥


店員さんに声かけられるのが嫌いな裕


一緒に外食しても私にばかり食べさせて


私の食べるとこ写メ撮ったり


それ見て私と携帯の奪い合いしたり


いろんな思い出が走馬灯のように頭を巡る


流れる涙を何度も拭う


私は思い出したかのように裕を追った


妊娠してること忘れて全力で走った


裕のバーの前で裕に追いついた


「ゆっ‥」


声をかけようとしたとき、裕の前に立つ愛理に気付いた


私は思わず塀の陰に隠れた


二人は手を繋いでバーに入ってく


「愛理の彼氏って‥裕?」


“俺の分まで幸せになれ”


裕は‥幸せじゃないの?


もしかしてっ‥


私は裕のバーに足を踏み入れた