君に贈る

私は仕事を終え帰宅する


帰り道、久しぶりに会った


「裕‥」


あの日誤解されてそのまま‥


裕は目を逸らし私の隣を通り過ぎる


私は地面を見つめた


もう裕とは前のように分かち合えないのかな‥


「沙菜」


振り返ると裕は私のそばにいて


抱きしめられた


「俺の分も幸せになれ‥」


「っ‥裕、あのね「わかってるから」


え?


「お前のこと、誰よりもわかってんのは俺だから」


「っ」


「愛してる」


私は泣きそうになった


ごめんね‥


答えてあげられなくて、ごめん


「沙菜‥」


「‥ん?」


振るえる声


泣いちゃダメだって思っても溢れる涙


「また俺の店来いよ。いつでも、来い」


「っ‥うんっ‥」


私は目を閉じ涙を必死に堪える


そのときすっと裕は離れ、歩いて行った