「岡野くんはねーたぶんスーパーボールの生まれ変わりなんだよー!凄いねーかっこいいねー憧れだねッ!」
 
と真顔で惚気(?)られた時は彼氏の前世をスーパーボールにしてしまうまさかな感じにグッ!ときたりすることなく「こいつぁ岡野以外には扱えん」などと納得したものだ。
 
 岡野の笑い声が携帯から聞こえる。
 
「木田さんなら今俺の部屋でスヤスヤ寝てるよ」
 
惚気か?高度15メートルで惚気なのか?
 
「じゃあ何でお前はそんな高いトコでヒーローごっこしてるんだ?」
 
「深い訳がある」
 
「嘘つけ。どうせぷりきゅあの録画しわすれたとかそんな感じだろ?俺が神風怪盗ジャンヌのビデオなら貸してやるからそれで我慢しろよ。しょうがないから俺の幼稚園時代のお遊戯の動画もかしてやる。天使みたいな顔して背景の木の役をしてるアレだ。かなりレアだぞ。ちなみにあの時なぜか俺興奮してたんだ……なんでだろうな?ほら、気になってきただろ?だからさっさと降りてこ――」
 
「俺の持っている鞄の中には爆弾が入ってる」
 
 
………………………………はい?
 
「木田さんが公園で拾って来た奴なんだが、さっき中を調べたら爆弾だった。ボンバーマンの爆弾だった。火はついてないけど、代わりに時限装置がついてた。確認した時点で残り10分だった」
 
「バカか。ボンバーマンに時限爆弾なんてねーよ。リモコン爆弾ならあるけど。いや、ある意味全部時限爆弾?」
 
「残り時間が二分だ」
 
…………………あのファンシー娘は何を拾ってきやがる!
「妖精さん拾っちゃった☆えへ☆」の方がまだマシだった。
 
 そういえば最近は世界中でも爆弾テロが流行っていた。とうとうこの辺鄙な極東の田舎までもがテロリスト様の守備範囲、もとい射程範囲内になったわけだ。