三人は、リタを寄宿舎のベッドに寝かせた。


彼女ははあはあと、苦しそうに呼吸をしている。


その時、彼女は夢を見た。


その夢の中で、帽子をかぶった男性のシルエットが浮かび、彼女に話しかける。


『我が娘よ。


砂と水と葉の……を手に入れ、闘技場に向かうのだ。


私は、闘技場の奥でお前を待っている』


(この声、父上なのか?


闘技場って、どこにあるの?)


リタは夢の中から聞こえる父王らしき声に反応しているのか、魘されている。


気配を察して、ヨゼフが右手をリタの顔の前に差し出す。


「ヨゼフ、何を?」


「誤解するな、治療さ。


僕は最近、魔族を解毒する呪文を覚えたんだ。


これで、リタが回復すれば良いけど。


リカヴァー・ポイズン!」


ヨゼフは呪文を唱えた。


すると、リタがゆっくりと起き上がった。


三人は安堵の胸を撫で下ろす。


「良かった。


あんたが急に倒れたから、びっくりしたよ」


「ごめんね。


君には苦労かけ通しだね、ヨゼフ」