リタは、尚もロータスに反発する。


「私が寝てる間に、叩き起こすなよ」


「誰がお前なんか!」


出会って間もなく二人の仲は、険悪になった。


(困ったな。これじゃ、仮に闘技場に行けたとしても、一戦も勝てないよ。


なんとかして、二人を仲直りさせないと)


グラナダが困っていると、執事が戻ってきた。


「グラナダ様、お部屋のご用意ができました。


直ちにご案内致します」


三人は執事の案内で、少し広いペンションのような部屋に入った。


「もし何かあったら、私は下にいます。


では、ごゆっくり~」


執事は歌うように言いながら、下に降りる。


「今日は本当に疲れたな」


「ああ、本当に」


「俺、こんなに広い屋敷に泊まるのは初めてだから、緊張して寝れないかもな。


リタ、お前は平気か?」


「ああ、何ともない。


むしろ、こういう場所には慣れてる」


リタは青い珠の髪飾りを外したり、ポニーテールをほどいたりしながら言った。


彼女は相当疲れていたのか、青い上着を脱ぎ、三つのベッドのうちの右側の分の布団を敷くと、そのまま寝てしまった。


「もう寝たのかよ。


なんて寝つきの良い女砂龍だ」


「ああ、彼女はきっと寝坊助なんだね」


そう言うと、彼らもベッドに横になる。


それから、十一時が過ぎた。


なぜか、リタは目が冴えた。


彼女は何気なく、砂龍城で起きた出来事を振り返る。


(父上、すみません。


本当に頑固なのはあなたじゃなくて、私の方でした。


なのに、私は……。


こんなことを考えてても、何も始まらないな。今はグラナダを助けていくことに専念しよう)


リタは決意を新たにすると、また目を閉じた。