(なんか、俺が交渉する前に、向こうから許可が降りたな……)


グラナダは、戸惑いながら屋敷に入った。


「俺はグラナダと言います。


本当は、グラナダステイル・スタンダードというのですが、長いので愛称で呼んで下さい」


彼はメダルからロータスを召喚し、二人の魔族を執事に紹介した。


「こっちの龍の女の子が、≪砂龍族のリタ≫。


そして、こっちの狐姿の男の子が、≪梓族のロータス≫です。


俺達は今夜、ここに泊まりたいのですが……」


「もちろん、良いですとも。


ここは普通に泊まっていらっしゃる方も多いですから、どうぞ気兼ねせずに」


そう言うと執事は、フッと笑って部屋の準備をするため、階段を上る。


リタは、先程の執事の笑い方に違和感を覚えた。


「グラナダ。私、嫌な予感がする」


「嫌な予感?」


「ああ、さっき魔力を感じた。


きっとここに、魔族が住んでるんだよ」


リタの意見を聴きながら、ロータスはからからと笑う。


それを、グラナダが注意した。


「ロータス、笑い過ぎだ。


彼女は真剣だし、正直な子だよ」


「だって、ここは人間界ゼテロイドだろう?


魔族がわざわざ、移住するか?」


「そ、それはそうだけど、もし魔族がここにいなかったら、こんなに強い魔力を感じないよ」