龍娘は龍太郎に向き直る。

「小岩井(かれ)に感謝しろ、丹下。本来ならばあれ程の男を相手にお前如きが喧嘩を売るという事は、殺されても文句は言えんという事だ。あの男が人格者であった事、『命のやり取りを禁ず』というこの学園の校則…全てにお前は守られていたに過ぎん…」

「…わかってらぁ、そんな事っ!」

吠えるように言う龍太郎。

『龍太郎君…』

小夜には、彼の背中が泣いているように見えた。

こんな背中を見るのは二度目だ。

タイマントーナメントの時の、あの背中以来…。