修行で得た力を、早く試したい。

できるだけ強い相手に、自分の力を叩き付けてみたい。

龍太郎は慢心していた。

驕っていた。

たかだか数日の修行で、己が何倍にも成長したと勘違いしていた。

若い頃は、誰もが井の中の蛙。

自分の技が、己の実力以上に強いと思い違うもの。

「…そんな誤解を正してやるのも…年長者としての務め…」

小岩井はゆっくりと振り返る。

「龍娘先生に代わって稽古をつけてあげるのは…今回だけですよ…?」