それは、『一体感』。

小夜が嗜むのは日本古来からの古武術なので、現在龍太郎が修行中の中国拳法の知識には明るくない。

しかし彼のやっている立禅が、瞑想のような意味合いを持つ稽古なのは理解できる。

瞑想とは、没頭すればするほど周囲の自然や空気と一体化するような錯覚に陥る。

今の龍太郎は、希薄さを感じさせるほどに周囲の空気と一体化していたのだ。