好きな人が、できました。



と、思っていたそのとき…



「杏ちゃん!!」



その声に振り向くと、教室の入口のところで宇野くんがゼーゼー息を吐いていた。


うそ…もう来たの!?


まだ朝のSHRも始まってないのに!?



「う、宇野くん…」



私、まだ心の準備ができてない。


ちらっと美保に助けを求めると、知らん顔をして携帯をいじりだした。


…い、いじわる!



「今日は早いね…」



だ、ダメだ…


自分の気持ちに気づいただけなのに、宇野くんの顔が見れない。


私は俯いたまま言った。



「き、昨日ごめんね…急に帰ったりして」

「ああ、いいよそんなの。俺も…ゴメン」



返す言葉が見つからず、黙ってしまう私。


宇野くんも何も言わない。