「…ちょっと、汗がでただけ」



やだ、絶対やだ。


こんなのありえない。



「なんてベタな」

「う、うるさいな」



ちょっと、悲しかっただけ。


宇野くんにまた、嫌がらせされただけ。


好きなんかじゃない。


こんな気持ち、好きだなんて認めない。



「私はいいと思うよ、宇野」

「何言って…」

「ただ不器用なだけなのよ。宇野も、杏も」



美保はそう言うと、公園の前の自販機に飲み物を買いに行ってくれた。


不器用、ね。


私って、不器用なのかな…?



「いい奴だよ、春斗」

「…知ってるよ」



私がそう言うと、小林くんは少しだけ驚いた顔をした。


宇野くんがいい人なのは、私もわかってる。


すっごくムカつくし、馴れ馴れしいし、自分勝手だし。


だけど、本当はすごく優しくて友達想いな人。


まだ知り合って少ししかたってないけど、そんな短い期間でも私にはわかった。