「いつも繋いでるじゃん」
「…手汗が」
「ぷっ。いいよ、そんなの」
なんだか急に緊張してきて、汗が出ているのが自分でもわかる。
「今日の杏ちゃん、静かだね」
「そ、そう?」
「いつもは、ギャーギャー言ったりしてうるさいのに」
ギャーギャーって…
私、美保よりずっと静かなほうなのに。
「失礼だよ、もう」
「本当のことじゃん」
「宇野くんも、最近何か違う」
「…んなことないよ」
今日だって。
さっきまで、一言も話さなかった。
「何かあったの?」
私の問いかけに、宇野くんは返事をしなかった。
かわりに、ギュッと手を握ってきただけ。

