「まあ、焦る必要もないしね?」
「ママは、はやく彼氏つくれって言ってるけど」
「杏とそういう話したいんだよ」
1人っ子だし、ママのそういう気持ちはわからなくもない。
「美保はお母さんにそういう話してる?」
「聞かれれば話すって感じ」
「美保のお母さん、忙しいしね」
美保のお母さんは看護師さんで、夜勤とかもあって忙しいみたい。
だから小学生のときとか、美保がうちに泊まることもよくあった。
ちなみに、私の家と美保の家は歩いて5分もかからないくらいの距離なんだ。
「ま、とにかく頑張ってよ」
「何を?」
「うーの!あいつ絶対好きなんだって!」
またそこに戻るんだ…
ついさっき、“焦んなくていいしね”って言ってたの、どこの誰だっけ?
「まあ様子見だよね?昨日の今日で、正直何考えてんのかわかんないし」
「あの絵のことも、許せないしね」
「そういえばあの絵、今どこにあるの?」
ああ…どこやったっけ?
もらって、見て、それで…
「あ、返しちゃった」
「返したの?」
「そう。B組の、名前わかんないけど、それ渡してきた人に」

