好きな人が、できました。



「わたしって子供だよね、本当」

「杏は大人だよ」



ずっと黙って聞いてくれていた美保が、静かに口を開く。



「私なんて、そんなこと考えたこともなかった」



お腹すいたなーなんて言いながら、美保はベッドに寝転ぶ。


本当、いつでもお腹すいてるよね。



「相手に合わせる必要なんてないよ」



でも、合わせようと思ってなくても、自然とそうなってること、あるでしょ?



「杏自身を、杏って存在を好きになってくれる人、絶対いると思う」



私って存在を、好きになってくれる人…?



「そういう人、絶対いる。げんにここに1人、いるしね?」



そう言って美保は親指で自分を指す。


…もう。


美保、本当大好き。



「杏は杏でいていいの。とことん自分好きでいていいの」

「それじゃあナルシストになっちゃう」



美保、ありがとう。


私はいつも、美保に助けられてる。


口には出さないけど、いつも本当に感謝してるよ。