美保から聞いた話だけど、私のクラスと宇野くんのクラスの人たちは、ほとんど今日のことを知っているらしい。
どうやったらそこまで広まるのか、って感じなんだけど…
「ち、違う。付き合ってないよ」
私がそう言うと、周りにいた友達はみんな『そうなのー?』『つまんなーい』と声をそろえて言う。
「2人いい感じだったけどなー」
「でもでも、気にはなってるんでしょ?宇野のこと♪」
え…気になってるって、私が?
「…そうなの?」
「そうなの?って…杏、自分のことでしょ?」
やっと会話に参加する気になったのか、美保が呆れ顔で言った。
すると、美保の言葉に周りにいた友達が笑い出す。
ほんと、自分のことなのにね。
もう何にもわかんないの。
「手繋いでたしーお似合いだったよね!」
「美男美女でさ!羨ましいよ」
うそ。
手繋いでたとこまで見られてたの?
何か、どんどん恥ずかしくなってきちゃったよ…
「ごめん。私トイレ」
ひとまずトイレに避難します!!