「…ありがと」
「もうナンパとか許さないから!」
ナンパってさっきのことを言うのか…
もっとカワイイものかと思ってた…
あんなに怖いなんて。
「されたくてされたわけじゃないよ」
「杏ちゃんがこんなの着てるからいけねんだよ」
そう言う宇野くんがつまむのは、私の白い浴衣。
なによう。
カワイイって言ってくれたのに。
…なんて、本人に言えるはずもなくて。
「宇野くんがいなかったのが悪い」
「ミルクティー買ってきてあげたんじゃん!」
「別に頼んでない」
「じゃあ返せよ」
ふーんだ。
私は宇野くんを無視してベンチに座った。
宇野くんも、少し間をあけて隣に座ってくる。

