好きな人が、できました。



ここは中庭。


もともと人もそんなにいないのに、まして今日は文化祭。


逆に気づくんじゃない?って思うかもしれないけど、みんな個々に楽しんでいて私たちを見ている人は誰もいない。



「どっかいって!」



走って逃げたくても、私は浴衣。


絶対すぐ追いつかれるに決まってる。



「俺らと遊ぼうよ」

「おいで」

「ぎゃっ!?」



2人のうちの1人が私の肩に手をまわした。


キモッ! ナニコレッ!



「やめてよ!」

「お姉さん、随分威勢がいいね」

「このまま学校抜け出さない?」



宇野くん早く戻ってきて!!


そんな、私の願いが通じたのか…



「てめぇら杏ちゃんに何してんだよ!」

「あぁ?」

「触んな!」



宇野くんが戻ってきた。


よかった、戻ってきてくれて…



「何だよこの手は!離せ!」

「てめぇ誰だよ」

「うっせー!俺だってまだ杏ちゃんの肩に手回したことねぇのに!」