「ダイエットとかしちゃってさ。髪型も毎日変えようとしてみたり」
「美保ちゃん、もっと言ってやってくれる?」
「化粧なんかもしてみちゃったり」
ママまでも美保に便乗して言ってくる。
ママにも、前からずっと言われてる。
“孫の顔が見れないなんて嫌だからね”って。
私が男の子とか恋愛とか、興味ないこと知ってるから。
「クローゼットがさ、ワンピースばっかになるのよ」
「なんで?」
「デート服って言ったらワンピースでしょ!」
腰に手を当てて、さもそれが当たり前かのように言ってる美保を無視して、私は部屋に向かった。
デート服はワンピースなの?
まあ、確かに可愛いけど。
「私知ってるんだからね!杏のクローゼットはワンピースばっかってこと!」
いつの間にか部屋に入ってきていた美保は、勝手に私のクローゼットを物色している。
「勝負服ばっかり!」
「はあ?」
さっきから意味わかんないんだけど…
制服から部屋着に着替えて、私はベッドに腰を下ろす。
「美保、私本当に彼氏とかいらないの」
「…なんで?」
私の隣に座った美保は、さっきまでとは違くて、とても落ち着いてる。
よかった、とりあえず元に戻って。

