好きな人が、できました。



「…ダメじゃ、ない」

「…え」

「…いいよ」



自分でも、どうしてこんなこと言ってるのかわからない。


あんなに散々、嫌がってたのに。


ただ、1つだけ言えることは…


目の前にいる宇野くんを、頬を赤く染めた宇野くんを…


ちょっとだけ、カワイイと思ってしまった。



「ほんと!?」

「だから…そう言ってるじゃん」

「ほんとに!?やあった!」



そんなに嬉しいのか、ガッツポーズまでしてる宇野くん。


そんな宇野くんを見て、私も自然と笑みをこぼした。



「じゃ、午後になったら迎えに行くから」



宇野くんはこれから行くところがあるらしくて、私は1人で教室に戻った。



「杏!遅かったね」

「おまたせ」

「浴衣カワイイじゃん!」



教室に戻ると、うちわをパタパタしている美保がヨーヨーをくれた。


クラスの商品らしいけど…


もらっちゃっていいのかな?



「宇野の奴、杏のこんな姿見たら何て言うかしら」



『宇野』


何となく自分の反応してしまうワードがでて、ドキッとする。