私の手の上に乗せられたのは…
「…ミルクティー」
「これあげるから、俺にもちょうだい?」
「…は?」
俺にもって、ミルクティーを?
だったらこれ別にいらないけど…
ていうか、宇野くん甘いのダメじゃなかった?
「杏ちゃんの時間、ちょうだい?」
時間?
私の時間は、1日24時間しかないからあげられないけど…?
「杏ちゃんの3時間を、俺にくれる?」
私の3時間?
何のこと?
「どういうこと?」
「つまり…」
そう言うと、宇野くんは咳払いをして言った。
「今日の午後、一緒にまわろ?」
え…
予想外の言葉に、私は俯いていた顔を上げた。
「ダメ?」
「えっ…」
私の瞳にうつったのは、ちょっぴり、ちょっとだけ頬を赤く染めた宇野くんだった。
「赤い…」
いつもなら。
いつもの私なら。
きっと嫌がって受け入れたりしない。
でも、今は?
今は、いつもじゃない。

