好きな人が、できました。



「あーもう!」

「ちょっ…」



宇野くんは急に立ち上がると、私の手をとって歩きだした。


な、なんなの急に!!



「ちょっと宇野くん!?」

「なんで杏ちゃん浴衣なの!?」



連れてこられた先は、自動販売機の前。


あ、ミルクティー…


あとで買いにいこっと。



「なんでって…クラスで決めたんだよ」

「なんで杏ちゃんA組なわけ!?前から思ってたけどさあ」



な、なんでって言われても…


私が決めたわけじゃないのに。



「知らないよ、そんなの」

「あーもうっ!」



そう言うと宇野くんは手を離して、自動販売機にお金を入れた。


え…なに。


ジュース買うために私をここまで連れてきたわけ?


なんかさっきまでちょっとドキドキしちゃったけど…


なんか私、ただのバカじゃん。



「私もう行くね」

「手だせ!」



いつもと違う、命令口調の宇野くん。


ていうか、手だせ?


なんなのもう…



「なに?」

「これあげる!」