「杏、見て!どう?」
「えー!美保可愛い!」
私のクラスは縁日をやるの。
ピンクの浴衣を着て、髪をアップにした美保はすごく可愛い。
今年は小林くんと一緒に回るんだーって喜んでた美保。
身だしなみにもすごく気をつかってる。
「杏もはやく着替えてきなよ」
私の浴衣は白地にピンクのあじさいの柄のもの。
去年買った、お気に入りの浴衣。
「よし、OK」
浴衣に着替えて、軽く化粧もして。
「杏、すっごく可愛いよ~」
「宇野、なんて言うだろうね♪」
着付けをしてくれたクラスの友達がからかって言ってる。
もう、どうしてすぐ宇野くんが出てくるのさ。
でも。でもね。
前ほど、嫌じゃないの。
前は、みんなにからかわれるのも嫌だった。
宇野くんと私、本当に関係ないのに。
勝手に宇野くんがつきまとってくるだけ。
それなのに、付き合ってる、とか、根も葉もない噂をたてられて。
本当に迷惑って思ってたけど…。
…でも、今は。
迷惑、とは思わない自分がいる。

