「綾部くんのことは好きだよ」
「えっ…」
「でもそれは、恋愛としての好きじゃなくて、友達として」
人として、『綾部くん』って存在が好きなんだと思う。
すごく優しくて、おもしろくて、サッカーも上手で。
一緒にいて楽しいって思う。
だけど、そんな人だから傷つけたくない。
私のせいで、傷ついてほしくないの。
「前はさ、そんなの気にしてなかったんだよね」
恋愛で傷つくとか、傷つけるとか。
経験ないから、わかんないんだもん。
だから、平気で断ってた。
けど、今は…
「美保を見てるとわかるの」
今日は小林くんといいことあったんだなーとか、今日は喧嘩してるのかなーとか。
そういう美保を見るの、私初めてだから。

