好きな人が、できました。



「はあ…どうしよ」



家までの帰り道。


今日は美保とは一緒じゃなくて、1人なの。



「どうしよー…」



頭に浮かんでくるのは、綾部くんのこと。


まさか…まさか。


あんなこと言われるなんて。


綾部くんが、私のことをそんなふうに見てくれていたなんて、全く気づかなかった。


綾部くんのことはもちろん好きだけど、そういう好きじゃないのは自分でもわかる。


だいたい、恋愛の好きってどういうの?


友達としての好きと、恋愛の好き。


どう違うのか、わかんないんだもん。



「杏ちゃん!!」

「げっ…宇野くん…」



振り向くと、ぜえぜえ息を吐いて走ってくる宇野くんがいた。


実は、準備が終わったら一緒に帰ろうって誘われてたんだけど、無視して先に帰ってきちゃってたんだ。



「なんで先帰ってんだよ」

「えへ…忘れてた」

「もう杏ちゃんちの近くじゃんよ!!」