好きな人が、できました。



「綾部くん?」

「ちょっと待てよ」

「部活、もう始まるんじゃない?」

「いいから」

「え、何?遅れたら怒られちゃうよ」



私がそう言うと、綾部くんは手を離して言った。



「…俺、西浦が好きだよ」

「…え?」



え…


あ、綾部くん?


好きって…好きってこと!?


綾部くんが、私を!?


私はあまりの突然の出来事に、ポカンとしたまま綾部くんを見た。



「西浦が宇野のこと好きでも、俺は…その、好きだから」

「え?ちょっ…」

「じゃ、俺部活いくわ」



綾部くんはそう言うと、グラウンドのほうに走っていってしまった。


うそ…何これ?


綾部くんが、私を好きってこと…?


そうなの!?



私はしばらく動けないまま、その場で立ち尽くしていた。