好きな人が、できました。



バタンッ


大急ぎで玄関に入る。


こ、こういうのを言い逃げって言うのか…?


勝手に送ってくれただけだけど、お礼くらい言っとくべきかなと思って。


荷物も、ずっと持ってもらってたし。


でも、実際言ってみたら、なんか急に恥ずかしくなっちゃって…



「はあ…何やってんだ、私」



男の子に家まで送ってもらうのなんて、もちろん初めてだし。


まして相手は宇野くん。


なんか、変に緊張しちゃった。



「杏!おかえり~!」

「美保!?!?」



リビングに行くと、なぜかソファでくつろいでる美保。


いや、いいんだよ?


美保は幼馴染だし、小さいときからお互いの家にはしょっちゅう行ってる。


最近では、美保なんてピンポンも押さないで入ってたりするし。


冷蔵庫のものも、私のお菓子も、全部勝手に食べちゃってるし。


美保とは、もう家族みたいなそういう関係だから。


だから、そういうことに驚いてるんじゃなくて。



「委員会じゃなかったの!?」



委員会だからって言って、先に教室出て行ったのに!


私と宇野くん、一緒に帰させてたのに!



「ああ、あれ嘘だもの」

「うそ?」