初めて宇野くんに会ったとき、本当に嫌いって思った。


あの手紙も意味わからないし、それに馴れ馴れしいし。


それなのにみんなに付き合ってるって噂をたてられて、本当に迷惑してたの。


だけど。


今はもう、迷惑とは思わない…かな。


迷惑とかより、宇野くんがどうして私にかまうのかとか、そういうことを考えるほうが多い。


だから別に、好きとかじゃないんだけど、嫌いでもない。


自分でもよくわからないんだ。



「どうして、そんなこと聞くの?」

「…別に、聞いたっていいだろ」

「…そう」



目の前に立つ綾部くんは、ぷいっと私から視線を逸らし、グラウンドのほうを見た。


もう、部活始まるのかな。



「じゃあ、私もう行くね」

「あっ…西浦」

「昨日はごめんね。今度一緒に帰ろう」



そう言って私は歩きだした。


けど、それは許されなかった。


綾部くんの手が、私の腕を掴んでいたから。