「誰が好きとか…関係ないでしょ?」



美保、いきなり何言ってるの?


びっくりしすぎて、苦笑いしかできない。



「大体、なんでその2人なの?」



私がそう言っても、美保は何も言わない。


それどころか、おにぎりをもう1つ食べ始めている。



「…杏は本当に鈍感だね」

「鈍感って…私が?」

「ま、そこが杏のいいとこなんだけど」



なんだか話の噛み合わない美保は、私の腕をとって歩きだした。


教室を出て、グラウンドに向かう。



「え、どこいくの?」

「このままじゃ、気まずいだけなんじゃない?」



そう言った美保が立ち止まったとき。


目の前にいたのは、あの人だった。



「え…」

「ちゃんと話しな。謝りたかったんでしょ?」



美保…


美保はそれだけ言うと、また校舎の中に入っていった。